ソムリエ二次試験、香りのコメント、香りの印象
香りのテイスティング・コメントの最後の項目は「香りの印象」です。ここは香りを分析し、熟成感と、香りの特性を導くところです。ソムリエ、ワインエキスパート二次試験では、下記のような用語で表現します。
熟成感
度合い1がフレッシュな香りで、度合いが大きい方が熟成感を感じさせる香りを表します。
度合い | 二次試験で使われる用語 |
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1 | 若々しい |
2 | 嫌気的な |
3 | 発展的な |
4 | 熟成感が現れている |
5 | 酸化熟成の段階 |
「嫌気的な」というのは、ワインが酸素に触れていない状態、つまりわずかに還元臭が感じられるということです。還元臭というのは、酸化臭の逆です。ゆで卵臭あるいは金属臭とも表現される香りで、良好にビン内熟成している若いワインの香りですが、強いと不快に感じられます。
香りの特性
香りの特性とは「どんな種類の香り?」ということです。ソムリエ協会教本の「テイスティング」の章に詳しく書かれています。
二次試験で使われる用語 |
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第1アロマが強い 第2アロマが強い ニュートラル 木樽からのニュアンス 複雑性がある |
「第1アロマが強い」とは、ブドウ品種がもともと持っている香り、例えばマスカットやラズベリーのような香りが強いということです。白ならリースリング、ゲヴュルツトラミネール、ミュスカのように、アロマティックな品種に用いられます。赤は品種を問わず用いられます。
「第2アロマが強い」とは、発酵や特別な製法によって生まれてくる香り、例えば花の香りやフルーツキャンディのような香りが強いということです。ソムリエ、ワインエキスパート二次試験では、白はシュル・リー製法の甲州とミュスカデに用いられます。赤はマセラシオン・カルボニック製法のガメに用いられます。
「ニュートラル」とは、「第1アロマが弱い」と同じ意味だと考えると分かりやすいと思います。品種固有の香りが弱いシャルドネ、ミュスカデ、甲州、つまりアロマティックではない品種に良く用いられます。
「木樽からのニュアンス」とは、新樽熟成の香ばしい香りがある、ということの他に、古樽で熟成させた場合に得られる複雑な香りがある、ということも表します。ソムリエ、ワインエキスパート二次試験では、赤ワインには樽香がなくてもほとんどのワインで用いられます。
試験テクニック
白ワインも赤ワインも、熟成度合いから1つ、香りのカテゴリーから1つ選ぶのが基本です。しかし、片方から2個選んでもかまいません。
白ワイン
白ワインは、たいてい若くてフルーティなワインが出題されます。まず「若々しい」を選びましょう。一番無難な回答です。
もう1つは、香りの特性から品種により下記のように選びましょう
- シャルドネ: ニュートラル
- リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン: 第1アロマが強い
- 甲州、ミュスカデ: 第2アロマが強い
その他の品種だと思った場合は、どれに似ているかによって決めてください。
赤ワイン
赤ワインは、品種により下記のように選びましょう。ガメ以外の品種については、香りのカテゴリーから2つ選ぶことになりますが、このような回答も許されます。
- ガメ: 若々しい、第2アロマが強い
- ガメ以外の全ての品種: 第1アロマが強い、木樽からのニュアンス