ソムリエ試験 合格者の感想とアドバイス Tactさん
第7章 二次試験対策: 「頭」と「五感」の訓練
一次試験に受かったからと言って、安心している暇はありません。合格日が7/27、二次試験が10/12だったので、残された時間はおよそ2ヶ月半。私は一次試験突破までは二次試験のテイスティング対策は何もやっていなかったので、早速作戦を立てました。「頭」と「五感」2系統の訓練です。
1. 頭の訓練 =「テイスティング理論講座」を受講
教本にもテイスティング理論についての記述はもちろんあります。しかし当たり前ですが、「どうやったら二次試験を突破できるか」という記述はありません。これほど重要な内容なのに、教本には基本的な知識や用語の説明がたったの12ページあるだけです。この内容を読んだだけでは、二次試験突破はまず無理でしょう。
二次試験対策として、私は8月下旬に設定されていたワイン受験.comの講座のうちいくつかを受講しました。山崎先生のテイスティング講座では、「生産国の見分け方」「コメントの基礎」「点が稼げるコメント」をなどのポイントをズバリ短期間で集中的に学ぶことができます。
目からウロコだったのは、二次試験において問われるのは:
- 日本ソムリエ協会が期待している正解に如何に近い解答をするか = テイスティングコメントの基本や常識を知る
ということであり、
- テイスティングでの個人的な見解や感想
ではない、ということです。
2. 五感の訓練 = 二次試験頻出ワインをもれなく購入し、テイスティングの数をこなす
テイスティング講座で得た情報を元に、赤白頻出ワイン上位5品種 × 複数国 × 複数ビンテージ +αを、インターネットで探し回って購入。合計で30本を超えました。過去の主要な頻出ワインの全てを揃えることは出来ませんでしたが、独学で本格的にやろうと思ったら、やはりこのくらいの本数と種類を買った方が安心です。
ちなみに、山崎先生の解説付きのワインセットがいくつか販売されていますので、これを買った方がもっと楽だったかもしれません(私は予算の都合上買えませんでした... みなさん是非ご購入ください!)
それと、国際規格のテイスティンググラス(全高約155mm)は早めに、最低5個は買っておきましょう。二次試験本番では、このグラスを5個使って出題されるからです。
テイスティングは「比較」が重要
山崎先生の講座で教わったのですが、私も含めて普通の人は、いわゆる「絶対味覚」や「絶対嗅覚」という能力が無いので、いくら過去にワインを飲んでいたとしても、たった一つのワインだけを前にしてその素性を当てるのはかなり難しいということです。
トップソムリエでさえも、テイスティング試験で全問正解することはあまり無いそうです。ですので、いくつかのワインを「比較」し、違いを感じながらテイスティングすることが、理解や体得を早める近道になります。
比較して初めて違いが見えてくる
実際に私も、これまでに色々なワインを飲んで来たので多少の自信はあったのですが、いざやってみると、よく飲んでいたシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンという品種さえも間違えることがあり、テイスティング訓練を始めた頃の正解率は無惨にも1~2割位でした。自分はただの「なんちゃってワイン通」=単なる呑んべぇ= であったことが盛大に露呈した瞬間です。とても二次試験を突破できるレベルではありませんでした。
そこで「比較」訓練です。複数のワインを実際に見て、嗅いで、飲んで比べることで、初めてそれぞれの特徴に気づき、深く理解出来るようになります。この点も、山崎先生の講座で「座学」として学ぶことが出来たのですが、2020年はコロナの影響等で実際のテイスティング授業や「小瓶交換会」がなかったので、五感は自分で鍛えるしかありませんでした。
50本を超えた山崎先生直伝の「C1000」の空き瓶
テイスティングに必要なワインを小分けするために、春から買い置きして少しずつ頑張って飲んで空けておいた「C1000」の空き瓶ストックは54本。いよいよこれらにワインを詰めるときがやってきました。
普通に洗っただけでは、蓋のライナー付近のレモン臭が取れないことがあるので、ブラシ等を使ってしっかり取り除きましょう。私はこれらを完全なる瓶に仕上げたかったので、C1000の商品ラベルも取り除きました。大量のツルピカ小瓶の出来上がりです。
ちなみにC1000の瓶底にはいくつかの文字や点? のような刻印があり、瓶ごとに微妙に違います。テイスティングに疲れたら、ワインではなく瓶の底を見て違いを楽しんだり、瓶底を「盲牌」するのも一興です。要らない情報ですね。失礼しました。
瓶底に正解を貼っておく
二次試験のために買った30数本のワインを、山崎先生直伝の「C1000」のツルピカ空きボトルに満タンに小分けし、あらかじめ瓶底に貼っておいた養生テープにそれぞれのワインの情報を記入。それらをセラーと冷蔵庫に保存。54本もの赤白ワインが入ったミニボトルはなんとも壮観。保存のために結構な場所を取られてしまいますが、そこは何とか工面します。