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ソムリエ、ワインエキスパート二次試験の回答の進め方

正しい進め方

テイスティングは、いきなり「ブルゴーニュのピノ・ノワールだ!」とか「オーストラリアのリースリングに違いない!」などと直感で決めつけたり先入観を持ったりせず、最初は可能性を幅広く考えるのが原則です。

ワインの特徴をとらえ、タイプ分けし、少しずつ「漏斗(ファネル)」のように選択を絞り込みます。そして最後に結論を導き出します。たとえ結論が間違っていても、そこまでの道筋、考え方が正しければ、良いテイスティングとして評価されます。ただし、結論が間違っていた場合、試験ではその部分の点は取れません。

二次試験でも下記の順序、つまり回答用紙の上から下に向かってテイスティングコメントを埋めて行き、選択を絞り込みながら最後に結論を導く、というのが良い進め方とされています。普通はワインスクールでもこのように習うと思います。

  1. 外観をコメント↓
  2. 香りをコメント↓
  3. 味わいをコメント↓
  4. ワインを評価し↓
  5. 最後に結論を導く↓
    • 収穫年
    • 生産国
    • 主なブドウ品種

最後に生産国や品種を導く時も、いきなり1つに決めず、可能性のある3つくらいから絞り込むと良いと言われています。

もう一つの進め方

しかし受験に限っては、違う進め方の方が点が取れます。紹介しましょう。多くのワインスクールで教えられているテクニックですが、誤解されている部分が多いので解説します。

YouTubeに、亡くなられた小林史高先生が出演されている「Sommelier for free ワイン講座」という大人気の動画があります。山崎は小林先生とは、1999年から約10年間、亡くなられる数年前までアカデミー・デュ・ヴァンで一緒に初級、中級、受験講座の講師をさせていただきました。

先生が生前、受験講座で語った名言の一つにこんなのがあります。

「二次試験の回答用紙は一番下から書け」

これは、

  • 最初に、品種、生産国、収穫年を決めなさい
  • テイスティングコメントは後から書きなさい

ということです。

実は両者は同じ事をやっている

小林先生のやり方は、正しいやり方と相反するようですが、そうではありません。いきなり「ブルゴーニュのピノ・ノワールだ!」などと直感で決めつけているわけではないのです。

外観→香り→味わいと特徴をとらえ、タイプ分けし、少しずつ選択を漏斗のように絞り込みます。ただし、これをその都度回答を書き入れながらやるのではなく、軽くメモなどを取りながら、結論まで一度まず導き出すのです。

品種、生産国など結論を導いた後、回答用紙を一気に埋めます。

この方が速いし高得点

自分の「正直なコメント」をその都度回答用紙に書き入れていると、試験では必ず手戻りが発生します。下の方で結論を出してから、上の方を消して書き直したくなる場面が必ず出てきます。自分なりに一度結論を出し、コメントの方向性を決めてから一気に回答用紙を埋める方が迷いがありません。

例えば、上から順番にコメントを書き入れ、最後に「甲州である」という結論を導き出したとします。その場合誰だって上に戻って「丁字」を選び、代わりに何かを消すと思います。丁字というのは甲州の香りを表す定番の表現で、過去の甲州の出題では全て正解とされています。しかし結論が出ていない状況では普通選びません。

あるいは、「甲州かリースリングか自信が無い」という結論が出たとします。その場合誰だってどちらに転んでもそこそこ正解になりそうな、安全なコメントを選びたくなるでしょう。こういう選択も一度結論が出ないとできない事です。

このようなやり方もあるんだ、ということを知っておいてください。