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ソムリエ試験 合格者の感想とアドバイス 野州の景虎さん

第4章: 二次試験対策 独学とスクール

一次試験を7月29日に受け、そのまま合格できたので、二次試験の10月9日まで約2か月間の猶予がありました。私は早速「ワイン受験.com」の二次試験対策にあったとおり、山崎先生が推奨されている「小ビン詰め替え法」により、自宅で独学によるテイスティングの練習を始めました。

まずはハーフボトルセットと小ビンを購入

ただし、山崎先生には申し訳なかったのですが、ワインは「アカデミー・デュ・ヴァン」の販売店からハーフボトルの10本セット(ピノ、シャルドネなどの白黒基本品種、模範解答付き)を、小ビンは通販で出回っている緑色の遮光ビン(180ml)をそれぞれ購入しました。

あえて遮光ビンにしたのは、このほうがブラインドをするときに中身がわかりにくいし、恰好から入ることで、なんとなくのモチベーションアップを期待していたからなのですが、今思えば、別にここまでこだわる必要もなかったかもしれません(笑)。

東京のスクールに行くことを決意

ただ、独学の準備はできても、根本的なテイスティングのやり方についてはいささか自信がなかったため、思い切って都内のワインスクールに通い、担当の先生から直接指導を受けることにしました。私が利用したワインスクールは9月から開講することになっていたので、8月中はとりあえず「ワイン受験.com」の情報を頼りに、自分なりにテイスティングの練習を本番のつもりで繰り返してみました。

トレーニング初期段階での反省点5つ

初期の段階において、自宅とスクールでのテイスティングで体感したことなのですが、第一印象でパッと思い当たる品種やワインがあったとしても、実際に模擬問題を解いてみると意外と思い通りにはならず、コメントの方向性が大きく外れていたり、あまつさえ品種そのものを外してしまったりするというミスも連発しました。

おそらく、「私は人並み以上にワインを飲んできたから」という慢心や根拠のない変な自信が、こういう結果を生んでしまったのだと感じました。ただ楽しく飲んだくれているのと、本職のソムリエのように分析しながら飲んできたのとでは、多分180度以上見解が異なります。改めて、外観→香り→味わいという、基本に忠実な段階を踏むことの大切さを知りました。ここでの具体的な反省点を挙げるとすれば、次のことだったと思います。

  • 自信をもって品種を特定できない場合、品種ありきの回答はしないほうが良い
  • まずは大枠から特徴を捉え、細かいことはあまり気にしない
  • 早とちりをしないこと、かと言って考えすぎないこと
  • 回答の後戻りはできるだけしないほうが良い(往々にして、最初の勘が決め手になる)
  • 何回も匂いを嗅いだり試飲しすぎたりすると、鼻や舌の感覚がマヒしてしまい、その後が結構苦労する→せいぜい、どちらも3回まで

コメントの暗記も有効

とはいえ、品種によっては初心者でもかなり特定しやすいものも存在し、そこには高確率で当てはまる定型コメントやセオリーどおりの解答例があったりもします。

そういうものに対しては、最初の外観や香りから判別し、とりあえず機械的にコメントを覚えてみることにしました(例: 甲州・ミュスカデなら控えめな香りにパン・ドゥ・ミ、ガメイならイチゴの香りにMC由来の第2アロマ、ゲヴュルツなら華やかな香りにライチ etc...)。もちろん、この方法に頼りすぎるのも好ましくないのは否めませんが。

パン・ドゥ・ミはドライイースト、マスカットベーリーAは食用ぶどう、ソーヴィニヨンは猫のおしっこなどとは、よく言ったものかもしれません。

模範解答との細かい差異は気にしない

コメントについて、爽やかな酸味だと思ったら「シャープ」が正解だった、ブラックベリーではなくブラックチェリーだった、花はスミレではなく牡丹だったというような些細な間違いは、個人の味覚・嗅覚の差もあることですし、いつまでも悩まず、それは仕方ないと割り切ってしまったほうが良いと感じました。

私自身も、あのリースリングの爽やかな香りが、青リンゴではなく「リンゴ」が模範解答であることが多いのは、未だに釈然としません。というか、果物系はともかくとして、例えばアカシアやすいかずらの花、貝殻や石灰などの科学的な香りまでマスターするのは、プロのソムリエでもかなり難しいことなのではないでしょうか。

重要なのは方向性

要は、明らかに濃いワインなのに「明るい」を選んだり、フルーティで渋くないのに「タンニンは強い」を選んでしまったりなど、大枠の方向性を間違わなければ良いのだと思います。ある程度の練習を積んでコツをつかめば、そこから正しいコメントを自ずと導き出せるはずです。

独学とスクールの相乗効果

この2か月間、「アカデミー・デュ・ヴァン」の販売店からハーフボトル10本セットを2種類購入し、それを小ビンに分けながら反復練習を行い、一方で9月から毎週土曜日にスクールに通い、テイスティングやコメント選びのコツとノウハウについて、ワイン以外のアルコール類も含めて継続的に学んできました。

独学は小ビンに詰め替えてブラインド

独学にあたっては、山崎先生のアドバイスには大変救われ、どのようにトレーニングを積んだらよいかイマイチわからなかった私にとって、本当に参考になったと感謝しております。

結論を申し上げると、「テイスティングの練習はこんなもんなのかなぁ」というような、前日まで多少ふわっとした気分ではありましたが、小ビン詰め替え法もスクールも、それはそれで私にとって大きな刺激となりました。

やはりブラインドですとそれだけ真剣に向き合えますし、間違った時こそ大きな成長につながるものだと思います。そして、スクールと独学の両方を取り入れることで、相乗効果のようなものが得られるという感覚がありました。

スクールでは戦略を教わる

スクールによって教え方は違うのかもしれませんが、私の場合、「この選択肢は除外してもいい」「出題者が好みそうなコメントを選ぶべきだ」というような、主に効率的に二次試験に合格するための戦略について教わってまいりました。

また、スクールに通えば、どうしたら合格できるのかということについて、現地の先生のご指導により具体的に見えてくるような気がします。今だからこそ言えますが、一次試験終了直後は正直なにを頑張ればよいのか分からず、「もしかしてこのままだと受かる見込みはないのでは?」という不安すら感じました。

個人的なアドバイス

基本品種の徹底トレーニング

個人的な意見ですが、ご自宅でテイスティングされる場合、色んな品種に手を出すのではなく、とにかく白黒の基本品種を徹底して覚えるべきだと思います。偉そうなことを申し上げてしまうかもですが、基本以外の品種が出てきたとしても、そんなものは大抵当てられないことのほうが多いでしょうし、現に、ソムリエ試験のアリゴテはみんな外していたようですからね。

また、時間とお金に余裕があれば、是非ワインスクールへ通ってみるべきです。的確なアドバイスを下さる心強い先生もいらっしゃいますし、その場にいる参加者と連携し、情報共有を図ることもできますから。一度参加するだけでも、あなたにとってきっと良い刺激になるはずです。

ワイン以外の飲み物も飲んでおく

補足ですが、ワイン以外の飲み物については、教本に記載してある各種ハードリカー等の名称と概要を、しっかり覚えておく必要があります。試験当日、選択肢として名前だけ出されても、「そもそもどういうお酒だっけ?」ということでは、特定することすらままなりませんから。スクールで学習するか、お店などで多少嗜んでおくべきでしょうね。もし一次試験の段階で、ここをあまり勉強してこなかったという方は、二次試験当日までには必ずマスターしておきましょう。

選択個数のチェックを忘れずに!

そしてもう1点。二次試験は鉛筆等で塗りつぶすマークシート方式なのですが、全て塗り終わったら、指定された選択数どおりにマークしているかを“必ず”チェックしましょう。

例えば、香りの部分から「4つ選びなさい」とあるところ3つしか選ばなかったのなら、まだ部分点をもらえる可能性があるのですが、オーバーして5つ選んでしまった場合、せっかく合っていてもそのせいで0点になってしまいます。

これが配点の高い「外観」や「香り」でのミスなら目も当てられません。人間ならだれもがこういうミスを犯してしまうと思いますが、こんなことで落っこちしてしまったとしたら、それは非常にもったいないし、何よりすごく格好悪く惨めです。